ゴミ屋敷問題を解決するための最終手段である訴訟。しかし、この道を選ぶには、相応の覚悟が必要です。なぜなら、裁判には、多額の「費用」と、長い「時間」がかかるからです。その現実を理解しておくことは、訴訟に踏み切るか否かを判断する上で、非常に重要です。まず、費用についてです。訴訟を起こすためには、弁護士に依頼するのが一般的です。弁護士費用は、大きく分けて「着手金」と「成功報酬」から成り立っています。着手金は、訴訟を依頼した時点で支払う費用で、数十万円程度が相場です。これは、裁判の結果に関わらず返金されません。そして、裁判に勝訴した場合、その経済的利益に応じて、成功報酬を支払うことになります。これらに加え、裁判所に納める印紙代や、証拠収集にかかる実費(臭気測定費用など)も必要となります。総額としては、事案の複雑さにもよりますが、少なくとも50万円から100万円以上の費用がかかることを覚悟しておく必要があるでしょう。次に、時間についてです。訴訟を提起してから、判決が出るまでには、早くても半年、複雑な事案では1年以上、場合によっては数年という長い期間がかかります。裁判は、訴状の提出、答弁書のやり取り、証拠の提出、証人尋問といった、定められた手続きに沿って進められるため、どうしても時間がかかってしまうのです。さらに、第一審の判決に不服があれば、控訴、上告と、裁判はさらに長期化する可能性もあります。この長い期間、相手方との精神的な対立関係が続くことは、大きなストレスとなります。このように、ゴミ屋-敷訴訟は、金銭的にも、時間的にも、そして精神的にも、原告に重い負担を強いるものです。だからこそ、訴訟は、行政への相談や調停といった、他のあらゆる手段を尽くしてもなお、解決に至らなかった場合の、本当に最後の手段として位置づけるべきなのです。そのコストとリスクを十分に理解した上で、専門家である弁護士とよく相談し、慎重に判断することが求められます。
ゴミ屋敷訴訟にかかる費用と時間