賃貸物件がゴミ屋敷と化してしまった場合、貸し主であるオーナーは、精神的にも金銭的にも多大な負担を強いられる厄介な問題に直面します。まず、問題の「発覚」自体が困難なケースが少なくありません。借り主が外部との接触を避ける傾向があるため、家賃滞納や近隣からの異臭などの通報でようやく発覚するという状況がしばしば見られます。発覚後も、借り主との交渉が難航することがほとんどです。精神的な問題を抱えている場合も多く、片付けや退去の要求に応じてもらえないこともあります。貸し主は、契約解除を申し入れ、最終的には「強制執行」という法的手続きに頼らざるを得なくなることもあります。これには弁護士費用や裁判費用、強制執行の費用など、多額の費用と長い時間が必要です。次に、物件の「原状回復費用」が貸し主にとって大きな負担となります。借り主の敷金だけでは、ゴミの撤去、特殊清掃、消臭、害虫駆除、壁や床の修繕、時には大規模なリフォーム費用を賄いきれないことがほとんどです。汚染がひどい場合は、通常のクリーニング業者では対応できず、専門の特殊清掃業者に依頼する必要があり、費用も高額になります。また、これらの作業には時間を要するため、その間の「家賃収入」が得られないという経済的損失も発生します。さらに、近隣住民からの苦情への対応や、物件のイメージ悪化による「空室期間の長期化」も貸し主を悩ませる要因です。一度ゴミ屋敷になった物件は、次の入居者を見つけるのが難しくなるだけでなく、他の入居者の退去を招く可能性もあります。貸し主は、物件の管理者として、こうした問題に適切に対処する責任を負いますが、そのプロセスは非常に複雑で、専門的な知識と根気強さが求められます。ゴミ屋敷は、貸し主にとって単なる物件の汚れではなく、賃貸経営全体を揺るがす重大な問題なのです。
貸し主が直面するゴミ屋敷の厄介事