ゴミ屋敷の片付けを専門とするプロの業者は、一般の人が途方に暮れてしまうような、混沌とした現場においても、驚くほど効率的に、そして安全に作業を進めていきます。その秘密は、長年の経験に裏打ちされた、確立された「手順」と「セオリー」にあります。プロの視点から、彼らがどこから、どのように片付けを始めるのかを学ぶことは、自力での片付けにおいても、非常に役立つヒントとなります。まず、プロが現場に到着して最初に行うのは、いきなりゴミを運び出すことではありません。彼らは、まず部屋全体を注意深く観察し、「状況判断」と「作業計画の立案」を行います。どこに貴重品が埋もれていそうか、どこからゴミを運び出すのが最も効率的か、そして、どこに崩落などの危険性が潜んでいるか。現場の全体像を把握し、安全な作業動線を頭の中に描くのです。そして、実際の作業は、やはり「玄関」と「廊下」の確保から始まります。これは、プロにとっても絶対の鉄則です。ゴミを効率的に外に運び出すための「搬出ルート」を確保しなければ、全ての作業が滞ってしまうからです。スタッフが安全に行き来できる道を作ることで、作業効率と安全性が飛躍的に向上します。動線が確保されたら、次に、各部屋のゴミの搬出に取り掛かります。この時、多くの業者が採用するのが、「リレー方式」です。部屋の奥のスタッフがゴミを袋に詰め、それを中継役のスタッフに手渡し、さらに玄関近くのスタッフが受け取って、外のトラックまで運ぶ。この連携プレーにより、無駄な動きなく、スムーズにゴミが運び出されていきます。また、プロは、「分別」の技術にも長けています。ゴミの中から、貴重品や書類、リサイクル可能な資源、そして危険物などを、瞬時に見分け、仕分けていきます。この的確な判断が、作業のスピードを支えています。プロの仕事は、単なる力仕事ではありません。それは、状況判断力、計画性、そしてチームワークに支えられた、高度な専門技術の結晶なのです。