ゴミ屋敷問題と「セルフネグレクト」が重なるケースで、特に深刻なのが「高齢者」の状況です。高齢になると、身体的な衰え、認知症の進行、配偶者との死別による喪失感、社会からの孤立など、セルフネグレクトに陥りやすい要因が複合的に絡み合います。そのため、ゴミ屋敷と化した高齢者の住まいを発見した場合、単なる片付けの問題としてではなく、セルフネグレクトという視点から、きめ細やかな「高齢者支援」を行うことが極めて重要です。高齢者のセルフネグレクトの背景には、まず「身体的な衰え」があります。ゴミの分別や運び出し、部屋の掃除といった日常的な片付けが、体力的に困難になることで、徐々に物が溜まり始め、ゴミ屋敷化が進みます。特に、足腰の弱りや慢性疾患を抱えている場合、その進行はさらに早まります。次に、「認知症の進行」も大きな要因です。認知症になると、物の価値判断や整理整頓の能力が低下し、ゴミとそうでないものの区別がつかなくなることがあります。また、物の収集癖が強まったり、同じ物を何度も買ってしまったりすることも、ゴミの増加に繋がります。自分の置かれた状況を認識できなくなるため、外部からの援助を拒否するケースも少なくありません。さらに、「孤独感や孤立」も高齢者のセルフネグレクトに深く関わっています。配偶者や友人の死、家族との関係性の希薄化などにより、社会との接点が失われることで、孤独感や喪失感を抱き、自己管理への意欲が低下することがあります。ゴミ屋敷化が進むと、人目を気にしてさらに孤立を深めるという悪循環に陥ることもあります。このような状況の高齢者を支援するためには、まず「地域包括支援センターへの相談」が最も適切な第一歩です。地域包括支援センターは、高齢者の生活全般に関する相談を受け付け、医療、介護、福祉サービスなど、様々な支援機関と連携して高齢者の生活をサポートする中核機関です。セルフネグレクトの兆候が見られる高齢者を発見した場合、ここに連絡することで、専門家による適切な介入と支援が期待できます。また、「見守りネットワークの強化」も重要です。自治会、民生委員、近隣住民が日頃から高齢者の生活に関心を持ち異変に気づいた際には、地域包括支援センターや福祉部門に情報提供できるような仕組み作りが求められます。訪問介護サービスや配食サービスなどを活用し定期的に高齢者の生活状況を確認することも有効です。