私が住んでいた部屋は、まさに汚部屋そのものでした。仕事から帰ってくると、ドアを開けた瞬間に漂う何とも言えない生活臭と、床を埋め尽くした脱ぎっぱなしの服や食べかけの容器。どこから手をつければいいのか見当もつかず、その現実から逃げるようにスマホを眺めて一日が終わる。そんな自堕落な生活を何年も続けていました。しかし、ある日、友人が急に訪ねてくることになり、私は絶望的な気分で部屋を見渡しました。その時、プロの片付けコンサルタントのブログで読んだ「まずは床の四隅の一箇所だけを完璧にする」という言葉を思い出したのです。私は部屋の隅にある小さなスペース、わずか一畳分にも満たない場所をターゲットに定めました。そこにあったのは、一年以上放置された雑誌の山と、いつか使うと思って取っておいた空箱でした。私は無心でそれらをゴミ袋に詰め込みました。そして、そこにあった埃を雑巾で拭き取ったとき、何年ぶりかに「本当の床」の色を見た気がしました。不思議なもので、一箇所だけがピカピカになると、その隣にあるゴミの山が今まで以上に不快に感じられるようになったのです。汚部屋片付けの正解は「どこから」という問いに対して、面積ではなく「自分が最も頻繁に目にする場所」から始めることかもしれません。私の場合は、ベッドから起き上がった時に最初に足をつく場所でした。その小さな聖域を広げていく感覚で、翌日はその周囲を、その次はクローゼットの扉の前を、というように少しずつ領土を拡大していきました。汚部屋を一度に片付けようとすると、その情報量の多さに脳がパンクしてしまいますが、自分だけの小さな「島」を作るつもりで取り組めば、意外と心は折れません。また、片付けの最中に思い出の品が出てきても、その時は見ないように徹底しました。感情が動くと手止まってしまうからです。とにかく無機質なゴミを、機械的に処理し続ける。そのリズムを掴んでからは、驚くほどスムーズに床が露出していきました。今、かつての私のように汚部屋で途方に暮れている人に伝えたいのは、部屋全体を見るのをやめて、今足元にあるゴミを一つきれいにすることだけに集中してほしいということです。その小さな一歩が、やがて部屋全体、そして自分自身の生活そのものを変える大きな力に変わっていくのです。
片付けられない私が汚部屋を克服した実録と最初の一歩