ゴミ屋敷清掃を専門とする私たちが最も現場で苦労するのは、実は室内よりも「庭」の片付けです。室内のゴミは、基本的には床の上に積み上がっているだけですが、庭のゴミは、自然の力、つまり植物と一体化しているからです。長年放置された庭では、雑草がゴミの隙間を縫うように成長し、さらには樹木の枝が廃棄された家具や自転車を抱え込むようにして太くなっています。これを撤去するには、単に物を拾い上げるだけでなく、電動の草刈機やチェーンソーを駆使して「解体」していく作業が必要になります。特に厄介なのが、ゴミの山を苗床にして成長した木々です。湿気を含んだゴミ袋の層は、植物にとって栄養豊富な温床となり、本来は鉢植えだったはずの観葉植物が地植えのような逞しさで地面を突き破り、建物の基礎にまで根を張っていることがあります。また、ゴミの下には何が潜んでいるか分かりません。草むらの中に、錆びた釘や割れたガラス、さらには農薬やガソリンが入った古い容器が隠れていることもあり、一歩間違えれば作業員が負傷したり、有害物質を吸い込んだりする危険があります。さらに、夏場の庭の作業は過酷を極めます。防護服を着用していても、ゴミの下から湧き出す無数のコバエや蚊、ハエの群れが顔を覆い、作業を妨げます。ゴミを一つ動かすたびに、中からゴキブリやムカデ、時にはネズミの死骸が出てくるのは日常茶飯事です。さらに、庭のゴミ清掃には「土」という問題がつきまといます。ゴミが腐敗して土壌と混ざり合うと、それは産業廃棄物としての処理が必要になり、分別の手間と処分費用が跳ね上がります。私たちが現場で見かける、ゴミを飲み込んだフェンスや、ゴミの重みで歪んだ門扉は、時間の経過がいかに物理的な環境を破壊するかを雄弁に物語っています。庭の清掃は、まさに「文明のゴミ」と「野生の植物」が混ざり合った混沌を整理する作業であり、そこには高度な技術と忍耐、そしてリスク管理が求められます。依頼主様には、庭がゴミで埋まり、植物がそれを覆い尽くす前に、せめて「植物の侵食」だけでも止めてほしいと切に願うばかりです。自然の力は、一度火がつくと人間の手には負えないスピードで、家全体を廃墟へと変えてしまうからです。
専門業者が語る庭のゴミ撤去における特殊な困難と植物の驚異的な浸食力