ゴミ屋敷における経済的な損失として最も顕著なあるあるが、同じ物を何度も買い足してしまう「重複買い」の現象であると言えるでしょう。どこに何があるか全く把握できない環境下では、必要な時に必要な物が見つからないのは必然です。爪切りが見当たらないから新しいものを買う、ハサミがないからまた買う、予備の洗剤があるはずだが見つからないからコンビニで買い足す。こうした行動を繰り返すうちに、部屋の中には未開封の同じ商品がいくつも点在することになります。清掃業者が入ると、一つの部屋から同じ種類のボールペンが五十本以上、未開封のトイレットペーパーが十パック以上、あるいは同じタイトルの雑誌が何冊も発掘されることは日常茶飯事です。これは単なる無駄遣いというだけでなく、住人の管理能力が完全に麻痺していることを示しています。ゴミの中に埋もれた物を探すための労力や時間を天秤にかけた結果、「新しく買った方が早いし、精神的にも楽だ」という結論に至ってしまうのです。しかし、この選択がさらに居住スペースを圧迫し、探し物をさらに困難にするという負の螺旋を作り上げます。また、特売品やストックという言葉に弱く、使い切れないほどの在庫を抱え込んでしまうのもゴミ屋敷予備軍の特徴です。「いつか使うかもしれない」「安いうちに買っておかないと損をする」という不安感が、物を溜め込む行動を正当化させます。ゴミ屋敷の住人にとって、物は自分の不安を埋めるための緩衝材のような役割を果たしていますが、実際にはその物が自分の首を絞めていることに気づけません。片付けの際、山のような未使用品を前にして、住人が「こんなにあったのか」と呆然とする姿は、自分の人生をいかに物によって浪費してきたかを痛感する瞬間でもあります。物を所有することが豊かさではなく、自分を管理しきれなくなる重荷に変わってしまう。その境界線を超えてしまった場所が、ゴミ屋敷という空間なのです。
重複して買い続ける同じ品物の悲哀